家の中心を貫く地下の和庭(ニューハウス2007.VOL.53/No.623より)
「母が旅行で山形の旅館に泊まったのだけど、『「ありがたみが半減してしまった』って言っていたんです」と笑う奥様。
個人邸の地下には、吹き抜けとなった和庭がある。和洋折衷の和室や深い軒に守られたベンチに座り、「ちょっとのつもりが、何時間も庭を眺めてしまうんです」。
多忙な日々を過ごすごご夫妻。
自宅兼用店舗が手狭になったこともあり、半分別荘のような気持ちで安らげる住まいを、別に建てることにした。見つけた土地は、交通の便が良く、店舗から徒歩で20、30分ほどの30坪弱の敷地だ。
ご夫妻ともにグリーンが好きということで、あらゆる場所に植栽が散りばめられた。中庭の吹き抜けに面した、2階の各室の窓にあるのは、当事務所でデザインしたプランターボックス。
LDKや寝室で過ごしながらも、季節の花々を眺めることができる。
また、外壁をぐるりと取り囲むように植えられたのは、シマトネリコやヤマブキ、沈丁花などの木々や、ラベンダーやマーガレット、蔓日々草などの草花。
外壁は石灰を混ぜた土壁、室内は床が無垢のフローリング、壁が漆喰塗りと、ナチュラルな素材で仕上げられた空間とグリーンが、ぴったりと馴染む。
「はじめて家に来た友達が、リビングのベンチでぐーぐー寝てしまうんです。」(奥様)と、期待以上の喜びの声でした。
道路側の外観。外壁は生石灰入土壁。
加工した木ゴテで陰影をつけている。