建物概要
所在地 | 東京都杉並区高円寺 |
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用途 | 賃貸集合住宅+施主用住宅 |
竣工 | 2004年9月 |
規模 | 鉄筋コンクリート造地上3階 |
延床面積 | 379.76㎡ |
掲載誌 | ‘05年 「左官教室 2月号」 ‘06年 「日経アーキテクチュア 9-11号」 |
中庭を持つ東京のまちのなかの集合住宅である。まちに集まって住む、生活を楽しむ事に建築がどこまで積極的に寄与できるか、という思いで設計した。西洋の集合住宅の典型である中庭をより有効に活用したつもりである。又同様の趣旨により自然素材を多用している。この中庭はこの建物にとって多種多様な役割を果たす。建物へのアプローチであり、各住戸のそして建物全体の大きな玄関であり又庭でもある。その中庭の片隅に設けた西洋田舎風の茶室は、各住戸の客室であり応接間であり又時には中庭の上空からの絞られた光をめでながら各人が心静めて過ごす場所ともなる。その中庭を意識して、南北に風や光の通り抜ける各住戸のプランとした。3階はこの建物の所有者の住宅であり、やはりここでもこの中庭に対して開かれたプランとなっている。中庭を囲むようにしてプラントボックスを配し、四季の草花やつたを植え、水平に張られたワイヤーメッシュにより導かれ成長したそのつたは、上下階の連続性を保ちながら心地よく区切ることになる。 空、雨、風、水、緑、そして建物の仕上げでもある石、木、土等の自然の素材を共有する中庭となった。なお外壁、内壁には栃木の葛生の土を使用した。関東にも若干のシリカ分を含んだ「まさ土」があると聞き、早速取り寄せて見本塗りをした所、充分な粘性、強さがあり石灰岩の小石混じりの土をそのまま使用した。「若い土」である。駒形石灰の横塚氏の配慮もあり、身近に壁土を手に入れることが出来、見事に仕上がった壁を前にして、現場での責任施工の苦労もあったが、喜びもそれ以上であった。