建物概要
所在地 | 静岡県静岡市駿河区登呂 |
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用途 | 賃貸集合住宅 |
竣工 | 2021年7月 |
規模 | 木造 地上2階 |
延床面積 | 756.66㎡ |
登呂の歴史、自然、風景をつなげる
弥生時代の集落、水田を保存する登呂遺跡のある静岡県登呂地区は、観光拠点として発展した地域であるが、その大部分は賃貸住宅を含めた住宅街である。賃貸住宅事業としての経営上の成立を問われることはさることながら、周辺の豊かな自然環境を取り込みながらも住環境として居住者に対して魅力ある空間づくりが求められる。
中庭のある集合住宅
近年多発する暴雨などの自然災害に対して住空間の安全を確保しつつも、コロナ禍において職住両方の意味を持つ住戸が集まる集合住宅において、居住者にとって魅力的な居住、ワーキングスペースを実現する半プライベートな外部空間を確保できる手法として、隣地沿いに建物を寄せ、中央に緑豊かな大きな中庭を配置した。中庭に一部水路に抜ける通り道をつくり、各住戸への採光、中庭を含めた敷地全体の通風を確保している。
求心性をもつ大きな中庭
中庭中央に、居住者が休日のシーンでも在宅ワーク中休憩をしているシーンでも憩える設えとして、オーナーからの要望でもあったサークル上のベンチを配置し、シンボルツリーとしてH5mのオリーブを植えた。すべての居住者はアプローチから中庭を通って各住戸へアクセスする。中庭植栽は、立木にオリーブ、地被にミスキャンタスとし、管理上メンテナンスの簡易な植栽を選定した。
左官仕上で囲む外装
建物外壁は土に白セメントを配合した左官仕上とした。中庭からみえる範囲の外壁はすべて同じ左官仕上とし、中庭にいると自然素材である土の雰囲気に囲まれるような感覚となる。
中庭を引き立たせるシンプルな内装
住戸内部は周辺需要を考え1F、2Fメゾネットタイプのファミリー向けとし、全住戸が中庭に対して開くプランとした。中庭に面した玄関から1FのLDKに入る際、水回りとセットで一般的に配置される内部廊下は廃止した。内装は居住者それぞれの個性で彩られることを想定し、できるだけシンプルな計画とした。
狩猟採集での定住スタイルを崩さず、農耕と同居できた日本特有の縄文・弥生文化の根付く登呂の土地に、集まって住むという集合住宅としてのプリミティブな空間、環境を創出することを目指した。